A-LeroyのQueerなΨ難日記

Beauneへ行きたいA-のΨ難とかクィアなセクシャリティーとか

「生産性を上げる為の人」って>_<!

ものすごくショックな話を聞いたので、ついここに吐きます…。


研究室や分野は全く違うとはいえ、同じ理学研究科で起こった話です。

教授(以後、先生と書きます) とそこのポスドク(以後、PDと書きます) が、二人で共著論文を書いていました。
ポスドクが、論文をとあるトップジャーナルに投稿する前に、先生に添削を頼みました。
その先生は決してlooseだったりlazyだったりする人ではありません。最もそういう言葉から遠い人物だと少なくとも私は思ってます。
先生は、とても忙しく、たくさんの論文を抱えていて、順番に見ていけば一ヶ月かかる、事前にと伝えたようです。
もともと、かなり酷い状態で、絶対reject される状態だったにも関わらず、なんとかPDの望みを叶えようともう本当に何度も何度も読み返し、書き換えて、コメントを返したようです。
私は、分野は違うので内容はよくわからないけれど、少なくとも自分の修論の時の添削を考えて比べてみれば、
それはそれは本当に丁寧できめ細かく心のこもったものでした……。



それなのに、PDが、「一か月 【も】かかった。
時間がかかれば、どんな素晴らしいコメントも台無し、いやマイナスになる」というような言葉を吐きました。以下のことを思い出しました。

かつて、夏学で出会った先輩が、私が修士課程一回生の時に、
「サイエンス の研究の世界では、
【時間がかかって何も成果がない場合、
ゼロ どころかマイナスになる。】
 プロなら、ドンドン 論文を出していかないと。  博士課程は、プロの研究者を目指すところだ。 プロ意識があるなら、年に一本くらいは出せるようなことを、出来るようなことを、研究テーマに選んで 取り組むべき。 」云々 言ってたのを ・・・

私は、「諦めなければ、どんな夢もいつかは必ず叶う。とにかく 諦めてはいけない。 諦めないで努力したことは、どんなこともすべてが良い結果につながる、 
報われない努力など無い 」と強く信じる人間であり、私の尊敬する先輩もそう仰ります。
(もちろん、期限があることもあります。急ぐべきこともあります。学位取得の規定も期限もあります。 でも…!) 



そして、一番ショックだったのは、先生のことを
【(論文の) 生産性を上げる】手段 とみなしたこと!
人間同士ですから性格的に合う合わない、好き嫌いはあったとしても、しばらく研究室の上司として研究者の先輩として真面目に真っ当にPDに寄り添った先生のことを、どうして そういう風に言えるのだろうか!!    
先生でなくても、先輩でも、友達でも、いや浅い付き合いの友人でも、こんなことを他者に対して言えるのだろうか!  これこそ、人の道に反すると思う。  

(この人と付き合っていれば、こんな点で得をする、
この先生につけば、この論文が書けて自分の評価が上がる 、注目される 云々
もちろんあると思いますよ。) 
 



私の場合、
「それはのたうちまわりなさい」「思いつかないなら沈思黙考するしかない。困った時に人の文献・論文を読んだ時点で貴方の研究は人の習作になる。」などなど、先生に議論や助けを求めても、ほとんど応えてもらえず、ますますネガティヴな気分になってしまうこともたくさんあったけど、それでも、すべてがそうだったわけではなくて、
議論して楽しかったことも教えて頂いたことも、
添削して頂いたこともあって、それに関しては良い思い出であるし、
研究室いて、研究して、自由エネルギーへの興味は私を支えてきたし、研究は楽しくて嬉しくてワクワクして幸せなことがたくさんあって、
だから、研究室の先生には何があったとしてもどんなにすれ違っても困惑させられても感謝の気持ちは全く消えないでいるのに……


この言葉も、ショックだし、全く同意できないけど、私も他者によく言われることで、自分でも時々心配になることだから、無視できなかった。
「とにかく食べていかないといけない。
そのためには、論文を出して職を得ないといけない。論文の生産性 が重要である」

そりゃ、私だって、学習欲(学術・興味に対する欲求)は、食欲・睡眠欲と健康が満たされた上で平和な世の中に生きてるからこそ成り立ってるというくらい、
エントロピー増大則よりもはるかによーーくわかってますよ!
それに、私だって、
真っ当で素晴らしい(ブランド的には、スタインウェイベーゼンドルファーあたりかな)ピアノと、素敵なチェンバロと同居して、熟成のピークを迎えたEgon Muller だのHautBrion ,La Tache だのをたまーに、少しでいいから、飲みたいっていうのもあるから、
生活費を稼ぐというのも重要である、というのは、痛感してますよ!  (今でも、時々、これ関連の夢をみます……>_<… ) 

でも、それでも、ね、

PDの言葉の中に、研究は楽しくて嬉しくて、素晴らしいドキドキワクワク感を与えてくれるもので、幸せになるためにやっている、
未熟な自分に信頼できる先生がいて、サポートしてもらいながら好きな研究が出来るなんて、なんて幸せなことなんだろう!  先生、ありがとう。

という気分は全く感じ取れなかったこと、
とてもとてもショックだった……

学業が不自由な学生とはいえ、私もサイエンスの世界で研究をやっている者としてーー
そのPDは、私より大分大人で、学位もとっていて、成果もそれなりに出してきた人だから、なおさらに。

唯一今のできることは、
「人のふり見て我がふり直せ」ということだけでしょうか……。

私は、私の先生や先輩に、そういう態度をとって悩ませストレスを与えることだけは絶対に避けたいです。